2016.03.07
「どんな帯板が良いのでしょうか?」
と聞かれる事があります。
まず、帯板はなぜ必要なのかを考えてみましょう。帯板の果たす役割が分かれば、おのずと良い帯板の選び方も分かってきますね。
お稽古をしていて、時々、帯板を入れ忘れて帯を締めてしまうかたがいます。そんな時、「あ!帯板入れ忘れた!」と気づくのは、帯締めを締めた瞬間です。帯板が入っていないと、締めた帯締めが帯に食い込んで、帯にしわがよってしまうのです。つまり、帯板は、帯に張りをもたせ、しわを寄せないために必要なアイテムなのですね。
帯板の役割は、帯に張りを持たせ、しわを寄せないため
なので、帯板選びの1つ目のポイントは
帯にしわが寄らない最適な長さや幅の帯板を選ぶこと。
この3枚の帯板、長さと幅が違いますね。
幅は、締める帯の幅に近いものを選ぶようにします。
一般的に、袋帯を締める場合、「幅出し」といって、そのかたの身長などに応じて帯幅を広くします。なので、写真上と下の幅広の帯板は袋帯用、真ん中は幅出しをしない名古屋帯用として使い分けると良いです。
また、昔の帯板は結構左右の長さが短いものが多いです。羽織を着るのが主流だった時代は、羽織から覗く帯の部分だけがしわなく綺麗だったら問題なかったので、帯板も短いものが多かったのですね。現代は、羽織を着ない事の方が多いので、真ん中の帯板くらいの長さはあった方が良いです。
それから、こちらのゴムの付いている帯板と付いていないもの。どちらが良いのでしょう?
ゴムが付いているものは、帯を締める前に、あらかじめ胴につけておく事ができます。ゴムが付いていないものは、帯を胴に巻いている途中で、挟み込んで使います。長い帯と悪戦苦闘している最中に帯板を挟み込むのは結構大変。なので、ゴムが付いている方が楽なのですが、ただし、これが使えるのは名古屋帯の場合のみ。袋帯の場合は、胴に巻く2巻目の帯に挟み込むので、ゴム無しを使います。
「袋帯の場合も名古屋帯同様あらかじめ帯板を胴につけておいたら?」
という声が聞こえてきそうです。思い出してください、帯板の役割を。帯にしわを寄せないため、でしたね。袋帯は幅が広い帯ですので、それを半分に折って胴に巻いてゆきます。帯は胴に2巻きしますので、つまり、胴に巻く部分をはじめから半分に折って薄く仕立てられている名古屋帯を2本分巻いているのと同じ事。そんなにたくさん巻いているのですから、帯板をあらかじめ胴につけておいたら、帯板は帯締めからかなり遠いところにある事になり、あまり機能しませんね。なので、帯板の役割を十分に果たせるように、出来る限り帯締めに近い場所に帯板を使いたいのです。
と言う訳で「名古屋帯には、ゴムのついたものを、袋帯にはゴムのついていないものを」と使い分けても良いかと思いますが、どうせ袋帯で苦労するのなら、名古屋帯の時から慣れておいた方が良いんじゃない?と言うのが私の考え。なので、既にゴム付きをお持ちのかたは勿論ゴム付きを使ってもらうのですが、「持ってないから購入したいです」というかたにはゴム無しをおススメしています。お値段もお安いし♪
それから、もう1つ、帯板選びの重要なポイントに素材があります。
この写真の真ん中に写っている姉様人形柄の帯板、中を覗くと厚紙が張られています。紙は湿気を吸うと、柔らかくなって形が崩れます。暑い日にこのタイプの帯板を使って帯締めを締めると、汗で湿気を吸った帯板が柔らかくなり、帯締めに締められて型くずれする、という事です。
また、この厚紙タイプの帯板は、固すぎる場合が多いです。一昔前に比べて、最近の帯は柔らかいものが多く、帯板が固すぎると帯の中で帯板が張ってしまいます。
写真上に写っている虹色の帯板の中は、穴の空いたプラスチック製。これなら型くずれしませんね。
で、このタイプの帯板の中身だけを使って帯板にしたものが、写真1番下。実用性だけを考えるなら、一番下で十分だと思います。
今日のまとめ、帯板選びのポイントは
1)帯にしわが寄らない最適な長さ、幅のものを選ぶ
2)ゴム付き、ゴム無しを使い分ける
3)素材を選ぶ
小物にもこだわりを持って、快適な着物生活を♪