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高橋美登里礼法きもの学院

カンヌ映画祭のローヒール問題

2015.05.25

カンヌ映画祭で、ローヒールの女性が入場を拒否された事が話題になっています。「赤い色の何かを身につけて」とか「ディズニーをテーマに」など、何らかのドレスコードがある集まりは楽しいものですが、今回は「正装で」というドレスコードと照らし合わせて、意見が分かれているようです。

 

日本の女優さんなどは、振袖や訪問着といった着物で出席なさる方も多いですね。きものの場合の履物は草履なので言ってみればローヒールですが、そこは履物も含めての“日本の民族衣装“ですので、全く問題にならないのは当然です。

 

では、たとえば、中森明菜さんの『DESIRE-情熱-』の時の様な和洋折衷の衣装を着た場合、着物とみなされるのでしょうか? 仮にこれを着物とした場合、ハイヒールは×、草履を履かないとダメ、という風にはならないですよね。それは、頭の先から足の先まで、トータルでの着物アレンジとしてバランスがとれているからではないでしょうか?

 

20年以上前、初めて電車の中で浴衣姿の女性を見た時には、のけぞるくらいビックリしました。当時の私の感覚では、浴衣は部屋着に近いもの。浴衣に下駄履きで出掛けて良い範囲は、せいぜい歩いて行ける地元のお祭りくらい。公共の乗り物に乗って遠くまでお出掛けするなんてあり得ない!(お出掛け着として、半衿をつけて着る木綿の着物は存在しますが、ここで言う“浴衣”は、盆踊りなどで着る浴衣です)

 

それが今では、浴衣は夏のお出掛け着としてすっかり定着しています。ですから私のお教室では、お出掛け着仕様の浴衣の着方をお教えしています。部屋着として浴衣を着るのであれば、リラックスできるざっくりとした着方の方が良いと思いますが、お出掛けする時には、ある程度のキッチリ感がないとだらしなく見えます。

 

そして浴衣のお出掛け着化が進むにつれて、色や柄も多様化してきました。そのため、最近では、下駄ではなくビーチサンダルで浴衣を着こなしていらっしゃる方も見かけます。

 

そういえば、安室奈美恵ちゃんがデビューした頃の成人式では、厚底草履がはやりましたよ。今では、ほとんど見かけませんね。

 

ハンドバックしかなかった時代、ココ・シャネルは「どうして女性の片手がハンドバックに占領されなきゃいけないの?」と、ショルダーバックを作ったのだとか。

 

世の中の多くの人たちの支持が得られたものは残っていき、それが良しとなるのがファッション。ローヒール問題も、結果が出るまでに数年かかるのかもしれませんね。