2024.05.12
きものは完全な左右対称の衣装ですから、1つしかないものは背縫いのみ。
なので、背縫いの右半身にあるものは必ず左半身にもあります。
人の身体も、背骨を中心として左右対称。
ということは、背縫いは上から下まで背中央に合わせた方が良い?
いえ
帯から上は中央に。
でも帯から下は、必ずしも中央でなくてもOK。
というのが私の考え。
だって、それがきものの良いところだから。
きものって、洋服に比べたらメチャクチャ着方が難しいですよね。
独学で美しく着るのは難しい…ってことで「きもの着付け教室」があるわけで。
この「ムズイ…」はきもののデメリットになりますが、メリットは「サイズは結構アバウトでも大丈夫よ〜」ってところ。だから、ママ振袖もできるわけで。
洋服の場合、スカートのウエストサイズが5センチ違ったら、もう着心地悪い…
が、きものなら、幅が5センチくらい違っても何とかなっちゃう。
この「着方難しい」デメリットと「サイズはアバウトでもOK」メリット、一見、相反する事のように思えますが実はイコールなんです。
帯から上の背縫いは中央に。
何故なら、裄(袖の長さ)が違っちゃうから。
背縫いの右側にある裄と左側にある裄は同じ長さに出来ているのに、真ん中をずらしちゃたら、そりゃ、左右の裄の長さが違っちゃいますよね。
「帯から下も同じじゃない??」と思いました?
だけどね、人生長い間には、ポッチャリしちゃったり、ホッソリしちゃったりしますよね。
私は、毎年1月にポッチャリさんになり、6月頃にちょっぴりホッソリさんになります…
そんな体重変動があるからと言って、その度に着物を買い替えるのも…ね。
でも、だからって左右対称に着物の裾を合わせたら、前姿がカッコ悪くなってしまいます。
かっこいい前姿とは、帯から下に、衽線1本だけがスッとある。
なのでポッチャリさんになっちゃったのに対照に着ると衿下の線も見えちゃうから2本線の前姿に。
ホッソリさんになっちゃったら、左脇縫いが見えてしまってやはり2本線の前姿に。
だから、着方で何とかしちゃえば良いのです♪
まず、上前には衽1本線しか見えないように調整し、残りはすべて下前として体に巻き付けてしまいます。
つまり後ろ姿は、ポッチャリさんになったら背縫いが左側に寄り、ホッソリさんになったら右側に寄るって事。
こんな風に、諸事情が変わっても自身でコントロールして着られちゃうのが、着物の良いところ♪でもあり難しいところですね。
…という訳で、ワタクシ、少し右側寄りになるように大きめに仕立ててます(ナイショ
ちなみに、ポッチャリさんになろうがホッソリさんになろうが、左右の腕の長さは同じなので、帯から上は背中央に合わせてくださいね。