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高橋美登里礼法きもの学院

お着物にはボタンがないんだね

2015.03.23

小学校で浴衣講習会をした時、1人の女の子が言いました。

 

おきものにはボタンがないんだね

 

女の子は、可愛らしいボタンがついたブラウスを着ていました。

1人でボタンを掛けられるようになるのは3歳くらいでしょうか? 何でも1人でやりたくなる好奇心旺盛な小さい頃、ボタンホールに上手くボタンを掛けられなくて何度も何度もチャレンジ。「出来た!」と思ったらお母さんに「あら、一段ずれてるわ」と言われ…。

記憶にないかもしれないけれど、皆そんな経験してますよね。きっとこの女の子も、そんな経験をたくさん積んで、上手にボタンを掛けられるようになったのでしょう。

 

そして、ただの大きな布の様な着物にはボタンが1つも付いていないのに、綺麗にくるりと身体に巻き付いているのが不思議だったのかもしれません。

 

そう、きものにはファスナーもボタンもありません。代わりに紐を使います。なぜでしょう?

 

着物の利点の一つにサイズの融通性があります。

例えばウエスト寸法、5センチ違うスカートをはくのは厳しいですが、着物は巻きスカートの様になっていますので、まず上前を決め、残りが多かろうが少なかろうが下前として身体に巻いてしまえば着られます。

あるいは身長、5センチ違うとかなりおかしなパンツスタイルになってしまいますが、着物の場合、腰紐の位置をかえたり、長すぎる場合は伊達締めに入れ込んでしまえば着られます。

 

これらはすべて、紐で締めるからこそ調整できるのであって、決められた場所で留めるファスナーやボタンでは出来ません。という事は、着物の場合は、多少太っても痩せても大丈夫♪

そしてまた、紐は自分できつさを調整しながら締める事が出来ます。例えば…二日酔いの日は、紐類をゆるめに締めるとか!? お酒は控えめに(笑

それから、私思うのですが「日本人は手先が器用」と言われますが、小さい頃から毎日紐を結んでいた事とも関係あるのじゃないかな。それは単に器用に紐を結べるというだけではなく、紐を締める位置や、体調に応じた締め具合などを総合的に判断して紐を結ぶという訓練を通して、無意識のうちに色々な場面で「微妙なさじ加減」を考えられるようになったのではないかと。

 

そんな風に、きものは工夫次第で幅広く着られますが、多少の技術が必要になってきます。各家庭でボタンの掛け方をお母さんが子供に教えるように、着物が日常着だった頃は、きものの着方やコツをお母さんが教えていました。ところが、日常着が洋服になった現代、家庭で子供にきものの着方を教えられるお母さんは少なくなってきました。だから、お母さんの代わりに着物を教えるきもの教室が存在するのですね。

 

この事を忘れちゃいけないなぁ、と思います。お母さんが子供に手取り足取り優しく(時には厳しく!?)教えるように、愛情と根気を持ってきものを伝えないといけない、って。

それからもう1つ、忘れちゃいけないなぁ、と思う事。それは、現代において着物は、一生着なくても何ら困らない、という事。どんな場面や状況でも、着物に代わる洋服はありますから。だから私は、“きものは難しい”と思っている方に「そんな事ありません、簡単ですよ」とは言いません。だって、洋服でも良いところを、あえてきものを着ていくのですから、やはり美しく装っていただきたい。その為には、ある程度の時間と努力が必要です。でも、だからこそ、きものを着た時に感じる“衣服としての機能性”以外の付加価値である“心の豊かさ”も一緒に伝えていかないといけないと思うのです。その“心の豊かさ”を感じる為に、ちょっと頑張って一緒に着物を学びませんか?と言いたいのです。

 

大丈夫、小さい頃は上手に掛けられなかったボタンが小学生になる頃には出来ちゃうように、着物も練習すれば出来ちゃいますよ。